平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
――耳元で、風が切る音がしている。

眼下には、つい先程まで見ていた低い山があった。

向こうへと続く大地の隆起には青々と緑が茂り、連なる山々が続く。

その上を二頭の白獣が駆けていた。やや前を行っているのはカルロだ。そして、コーマックを乗せた相棒獣が並んで進んでいる。

「つまり、本当に白獣の亡霊なんですか?」

リズは、風に煽られている髪を押さえながら、カルロに騎獣して自分を後ろから支えているジェドを見た。

「あの獣から感じたのは、確かに白獣の気配だった」

「一度白獣と魔力を繋げたことがある獣騎士であれば、分かると思います」

ジェドが答えたそばから、コーマックも言ってくる。

「そう、なんですね……」

いまだ信じられないが、空を飛んでいたのも確かだ。そして、間近で目にした瞳の色も、どこか異様ではあった姿も白獣に近かった。

村の騒ぎに関しては、ベルベネット子爵と村長カシムが、事情を説明して落ち着けてくれた。

獣騎士団への知らせをお願いしたのち、いったん彼らの方に現場を任せ、リズたちは騎獣して二つ隣の町を目指した。

『彼は、恐らくギヴォットの町か、その周辺の村に関わる者だと思います』

少年を目撃した旅商人の一人が、そう驚くべき証言をしたのだ。

そこは、灰色の髪を持った人間が多い町なのだという。その周囲に転々とある村々で見掛ける髪色なのだとか。

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