平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「肉体が白獣でないから、気配や匂いが辿れないとはな」

ジェドが小さく溜息をもらす。

「僕の相棒獣も、カルロと追っている最中に何度も見失ったそうですからね……死んでいるのに、戦闘獣としての魔力が健在というのも不思議ですよね」

相槌を打つコーマックの声を聞きながら、リズは支えてくれるジェドのたくましい腕の温もりにそわそわしてしまった。

思い返してみれば、当初から彼の腕はずっとリズに優しかった。

それは、以前から女性として意識してくれていたから……?

昨夜の件で、つい、そんなことを考えてしまいそうになる。片腕で抱き締められているので、ドキドキしたら伝わってしまうだろう。

今は目の前に集中だ、リズは団員として考察を口にする。

「私もそれが不思議でした。幽霊でも、白獣としての力も発揮できるというのにも驚いたんです」

「白獣は、個体によって差も出てくる」

だが、とジェドも驚きを認めるように苦しげに続けた。

「とはいえ、まさか亡霊騒ぎとはな」

白獣の亡霊が、山の獣に乗り憑って力を発揮している。

姿形まで大きくなっているとすると、蘇った、とも言える状態だろう。

こうして亡霊となるほどの思いがあったのか。それとも、強い力を持った白獣には可能なのか。

ジェドの悩み込んだ様子からも、異例の事態であるのが伝わってきた。

「それに、騎獣で飛行までできていた少年だ」

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