平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
質問できず待っていると、ジェドが溜息交じりにそう言った。

「コントロールは完全ではないようだが、訓練なしでよくやれたものだ」

「確かに、攻撃回避から再飛行まで無駄がありませんでした。呑み込みが早いのか、相手の亡霊がそれだけ賢い白獣だったのか」

うーんとコーマックが悩み込む。

まずは彼のことを調べるためにも、リズたちは少年の情報を求めてギヴォットの町へと向かっていた。

獣騎士団が来ていることは、少年側にも亡霊にも知られた。

だが、それは今のところベン=ドラッド村内に留まっている。向かう町を騒がしくしないため、いったん近くでカルロたちから降りる予定ではいた。

「亡霊のことも、何か知れることがあるといいですね」

「そうだな」

リズに答えたところで、ジェドの視線がふと下を見た。

「カルロ、今日はやけに静かだな」

「――ふん」

ちらり目を合わせたカルロが、すぐに前方へ目線を戻した。

リズは、ジェドのように心で意志疎通はできない。でも彼が『別に』とだけそっけなく答えて、再び沈黙したように感じた。



いったん、町に入る手前でカルロたちと別行動になった。

山岳に囲まれたギヴォットの町は、比較的都会寄りで人が賑わっていた。

交通網もきちんと整備され、通りもとても大きかった。ひっきりなしに馬車も行き交い、周囲の小さな村からの買い物客も目立つ。

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