平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
建物も大きいから、身体能力の高さをいかしてカルロたちも移動が可能だ。上からリズたちを見守り追うことになっている。

人の流れが多いので、注意していないとはぐれてしまいそうだ。

そう思っていたリズは、不意に手を取られて心臓がはねた。

「なっ、なんですか」

思わず過剰反応でパッと振り返ってしまった。ジェドの大きな手が、自分の手を包み込んでいるのだ。

目が合った彼が、ちょっと目を見開いている。

露骨すぎたのだろう。リズはじわじわと頬が赤くなる。

――意識しすぎでしょ私!

昨夜のことが頭をループする。団長様は、私を本物の恋人にしたいと思っているの? それって私のことが好きってこと?

考えすぎてよく分からなくなる。

ドキドキしすぎて言葉が出なくなると、ジェドが小さく笑った。

「人混みにはぐれたら、大変だろ。小さいしな」

はぐらかすように言われた。子供扱いされた気がして、リズはなんだかムキになって言い返してしまう。

「そんなに小さくはないですっ」

「どうかな。俺と比べても、こんなに違う」

「比べられても困ります!」

意地悪っぽく笑われて、手で高さの違いを指摘され、リズは可愛く頬を膨らませて怒った。

怒鳴ったおかげで緊張が少し飛んだ。後ろでコーマックが苦笑いをもらしているのに気付いて、ぷんぷんしながらも文句をやめる。

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