平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
構わず歩き出してしまったジェドの目が、どこか柔らかく笑っていたから。

言い返したのに、彼はリズの手を優しく引いてくれていた。

――これは子供扱いだったりするのかしら?

リズは、彼が『小さい』と言ったことを考える。彼にとって、自分が子供という立場を思うとなんだか嫌だった。

リズは十七歳だけど、彼に比べたら十一歳は年下だから。

「まずは役所ですかね?」

歩きながらコーマックが早速切り出した。

「そうだ。そこなら孤児の相談所もある」

「引っ掛かればいいんですけどね」

「たびたび騒ぎになっている子供というんだから、保護活動で縁があったのを期待するしかないだろう」

ベルベネット子爵から、この町には支援課があることを聞いていた。ジェドがコーマックに答える。

でもリズは、この前の夜のことが気になって仕方がない。

恋人のふりを、本物にしたい……だなんて。

亡霊の正体が白獣だと分かり、獣騎士候補の少年も出た。真剣に仕事にあたっている最中の彼には尋ねられそうにない。

『この前の言葉って、どういう意味なんですか?』

私はどうなんだろう?

ふと思って、リズは不思議な鼓動を打つ自分の胸を考える。昨夜の言葉のせいで緊張はしているけれど、ジェドの手を振りほどきたいだとかは感じていない。

彼が手を握ってくれていると、安心するのだ。

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