平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「建物の中に連れて行くわけにはいかないから、少しここで待っていてくれるか?」

「分かりました」

そうすれば、この人の多さでも大丈夫なのだろう。

手の温かさにドキドキしつつ答えた。握り込む力は優しくて、なんだかジェドがとてもリズを思ってくれている錯覚が込み上げる。

おかげで手を離すタイミングを掴みかねていると、彼の目が微笑む。

「できるだけ早く戻るから」

気のせいか、とても優しくて穏やかな声だ。

ずっと見つめられていることに、ふっと顔に熱が集まってくる。

「は、はい。お待ちしております」

どきまぎしたところで、ジェドが察したみたいに手を離した。なんだか少しうれしそうで上機嫌さが滲む。

「コーマック、行くぞ」

待っていたコーマックが、笑う口元を手で隠していた。役所に入っていく人たちの視線を集める中、ジェドに「はい」と答えてリズへ向く。

「それではリズさん、よろしくお願いします」

「はい。いってらっしゃいませ」

リズは、コーマックとジェドが建物に入っていくのを見送った。

その姿が見えなくなって、ようやく緊張が抜けていく。

「びっ……くりした。あんな風に微笑むだなんて」

子供に留守を頼む、みたいな感じだったのかしら?

一連の行動を思い返してみると、そう考えれば不自然ではなくなる。

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