幽霊屋敷に挑む魔女
『だから、松井先生に日本史苦手アピールして2人っきりで補習がしたいの』
『苦手アピールより、先生の事が好きなら得意になってテストでも一番になった方が印象良くなるよ』
『いや、それは無理!だってうちのクラスの学級委員全科目90点以下取った事ないんだよ!そんなのに私が勝てる訳ないじゃん!
だから、日本史が苦手でほっておけない可愛い生徒でいるの!』
理系や英語が強い夏美。でも国語や社会はダメダメ。将来の事を考えたら私は夏美みたいにもっと理系や英語を強くなりたいなと思いながらも、もしかして日本史も弱いフリして松井先生に近づこうとしているのかな?って計算で動いている気がするのは私だけかな?
そんな風に夏美と笑いながらおしゃべりをしていると、学校が見えてきた。すると、夏美は
『やばい、校門に鬼山がいる!』
と言い出して第二ボタンまで開けていたブラウスのボタンをしめ、カバンからリボンを取り出してつけた。
抜き打ちの風紀チェック。私は、制服はいじってないけど軽くメイクはしている。でも、本当に軽くだし、ナチュラルメイクだからバレはしないだろうと思うが
『おはようございます』
鬼山こと、嵐山先生の前を通る時は冷や冷やした。兎に角、この風紀委員担当の嵐山先生は顔もだけど怒ったら校内一怖い。
風紀違反した生徒に対してそうだし、一回男子生徒同士で殴り合いの喧嘩が起きた時に、真っ先に嵐山先生が止めに行き、間違って生徒の一人が先生の顔面を殴りつけてもびくともせず、『校内で暴力は禁止だ馬鹿野郎』と二人の生徒にゲンコツを落とした。
それに、柔道部の顧問だから図体が熊みたいにでかい。だから、よく女子生徒から恐れられている。
『あー、危なかった。絶対あの体の大きさじゃなきゃ遠くからは存在に気づかなかったよ』
そう言って夏美は生徒玄関でリボンを外し、ブラウスのボタンを外した。
『確かに、その格好で堂々と鬼山の前を通ったら首根っこを掴まれて確保されちゃうね』
ちなみに確保された生徒は集められて一斉にお説教を受け、その上反省文まで書かさる羽目となる。一度、夏美は確保され
『可愛い制服で松井先生の授業を受けたいだけなのに、なんで反省文なんて書かないといけないわけ?あの、鬼、ファッションや乙女心全然理解してない!』
ど、文句を言いながら書いていたのを見た事がある。それいらい、嵐山先生を敵視、警戒している。
下駄箱から上履きを取り出して履き替え教室に向かうと、なんだかどのクラスの女子生徒が浮ついているように感じた。
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