幽霊屋敷に挑む魔女
私はもう二度と自分が変なものが見えるって事を誰にも言いたくない。昔みたいに、嘘つき呼ばわりも変なやつって思われたくない。
私の事を知っているのは、あの人だけで良い。
『そっか、今って花粉症の時期だもんね。うちのお兄ちゃんも花粉症で鼻かみ過ぎて、最終的に大量の鼻血を出した時は流石に私もびっくりした!』
『確かに、それは怖いね…』
びっくりしたって言う割にケラケラ笑いながら話す夏美を見ていると、私の頬も自然と緩んだ。
教室に入ると、私達のクラスの女子も例の転校生の噂で浮かれていて男子はなんだかつまんなそうにしている。
『あっ、桜、夏美、おはよ!ねぇねぇ知ってる…』
『ああー、例のイギリスの転校生でしょ?
もう学校中その話題だよね』
『夏美たちも、もう知ってたの?』
『千秋から聞いた。千秋が騒ぐから松井先生の新しいブロマイドかなって思ったけど、その例の転校生の話を聞かされた』
『本当、夏美は松井先生のことばっか。でもさもし転校生くんが松井先生よりイケメンだったら千秋は絶対転校生くんのブロマイド作りに乗り換えるよ』
『えっ!!それは絶対ダメ!推し変は禁止でしょ!』
夏美たちの会話を聞きながら、転校生に浮かれたり、ざわざわするのはわかるけど、なんだかここまでくるとちょっとした恐怖を感じてしまう。
『イギリスの帰国子女で、ハーフ。そんなにすごいのかな…』
独り言を呟いたつもりなのに
『だよな、早乙女。イギリスからの転校生だからって女子は朝から馬鹿騒ぎしやがって』
隣の席の杉田くんに声をかけられた。
『えっ、あ、まあ、イギリスとかはまず置いてみんな転校生ってだけで珍しくてはしゃいじゃうだよ』
『そんなもんか?そもそも、高二からの転校生ってなんか変じゃねぇ?』
『きっと、何か事情があるんだよ』
『事情ね…でも、早乙女はなんかサラッとしてるよな』
不機嫌そうだった杉田くんの顔がパッと明るくなって
『そ、そうかな?』
私はまた一線引いてしまう。
杉田くんがどんな気持ちを抱いているか、私は知っているから。
視線をキョロキョロさせながら、何か会話を打ち切る方法を考えていると、
『うわ〜杉田、もしかして転校生に嫉妬してるの〜』
夏美が無意識に助け舟を出してくれた。
杉田くんが私に好意を抱いているのはクラスでは誰も知らない。そもそも、私だって自分の特異体質がなければ気づきもしなかった。
初めて、杉田くんに話かけられた時に彼の頭上にニコニコ笑っている真っ赤なハートを持っている天使が見えてしまったから。
そんなの見えてしまったら、今まで普通のクラスメイトって思い話していたのに、普通に接することなんてできやしない。
それに、彼の推しの強さにもし私が心を許してしまったら?
脳裏に赤い蝶が舞う。
必ずしも、私が誰かに恋をするだけで相手が傷つくって確信はない。でも、やっぱり心の傷は深くそう簡単に消えてはくれない。
私の事を知っているのは、あの人だけで良い。
『そっか、今って花粉症の時期だもんね。うちのお兄ちゃんも花粉症で鼻かみ過ぎて、最終的に大量の鼻血を出した時は流石に私もびっくりした!』
『確かに、それは怖いね…』
びっくりしたって言う割にケラケラ笑いながら話す夏美を見ていると、私の頬も自然と緩んだ。
教室に入ると、私達のクラスの女子も例の転校生の噂で浮かれていて男子はなんだかつまんなそうにしている。
『あっ、桜、夏美、おはよ!ねぇねぇ知ってる…』
『ああー、例のイギリスの転校生でしょ?
もう学校中その話題だよね』
『夏美たちも、もう知ってたの?』
『千秋から聞いた。千秋が騒ぐから松井先生の新しいブロマイドかなって思ったけど、その例の転校生の話を聞かされた』
『本当、夏美は松井先生のことばっか。でもさもし転校生くんが松井先生よりイケメンだったら千秋は絶対転校生くんのブロマイド作りに乗り換えるよ』
『えっ!!それは絶対ダメ!推し変は禁止でしょ!』
夏美たちの会話を聞きながら、転校生に浮かれたり、ざわざわするのはわかるけど、なんだかここまでくるとちょっとした恐怖を感じてしまう。
『イギリスの帰国子女で、ハーフ。そんなにすごいのかな…』
独り言を呟いたつもりなのに
『だよな、早乙女。イギリスからの転校生だからって女子は朝から馬鹿騒ぎしやがって』
隣の席の杉田くんに声をかけられた。
『えっ、あ、まあ、イギリスとかはまず置いてみんな転校生ってだけで珍しくてはしゃいじゃうだよ』
『そんなもんか?そもそも、高二からの転校生ってなんか変じゃねぇ?』
『きっと、何か事情があるんだよ』
『事情ね…でも、早乙女はなんかサラッとしてるよな』
不機嫌そうだった杉田くんの顔がパッと明るくなって
『そ、そうかな?』
私はまた一線引いてしまう。
杉田くんがどんな気持ちを抱いているか、私は知っているから。
視線をキョロキョロさせながら、何か会話を打ち切る方法を考えていると、
『うわ〜杉田、もしかして転校生に嫉妬してるの〜』
夏美が無意識に助け舟を出してくれた。
杉田くんが私に好意を抱いているのはクラスでは誰も知らない。そもそも、私だって自分の特異体質がなければ気づきもしなかった。
初めて、杉田くんに話かけられた時に彼の頭上にニコニコ笑っている真っ赤なハートを持っている天使が見えてしまったから。
そんなの見えてしまったら、今まで普通のクラスメイトって思い話していたのに、普通に接することなんてできやしない。
それに、彼の推しの強さにもし私が心を許してしまったら?
脳裏に赤い蝶が舞う。
必ずしも、私が誰かに恋をするだけで相手が傷つくって確信はない。でも、やっぱり心の傷は深くそう簡単に消えてはくれない。