光を掴んだその先に。
「あ、こんなところにいたっ」
けれど唯一そうはならない子がひとり。
それはきっと、こいつだろう。
「那岐、もうお腹いっぱい?まだお寿司とか結構のこってるよ」
「かなり食ったからな、アイスケーキ」
「…それは…ごめんっていうか、ありがとうっていうか…」
俺の隣に立つ絃は何かを隠すようにモジモジと視線を泳がせる。
隠すというか、伝えようとしているのか。
「…ごめん那岐。ケーキも溶かしちゃったし、プレゼントとかとくに何も準備できなくて…」
「別にお前に何事も無ければそれでいい」
「う、…それも、ごめん」
どうにも自分のせいで俺を謝らせたとでも思っているらしい。
あれは確実に俺のミスでもある。
本当なら横浜の件は昨日片づける予定が、今日まで長引いてしまったのだから。
お前がここにいて笑ってる、それだけで俺にとっては何よりのプレゼントなんだよ。
…とは、言えそうにないが。
「あのね、私が施設にいた頃から…よく佳祐にやってたことがあって……」
ピク、と。
その名前が出るとどうにも面白くない俺は眉が寄ってしまう。
「それ…プレゼントになるかどうか分からないんだけど……やってもいい…?───って、怒ってる?え、怒ってる…!?」
「別に怒ってねえよ」
「うっそ!だってすごい剣幕してる…!!」