光を掴んだその先に。
あいつと何かあったんだろっつっても答えないのはお前だろ。
それに……易々とキスされてんじゃねえよ馬鹿。
隠してるつもりだろうが、バレバレなんだよ。
「いいからやれよ、それ」
「なんかしづらくなった…」
「怒ってねえっつってんだろ。ほら、」
それは無意識だった。
両手を差し出すように広げて、そこへ来いと誘うような動き。
それをしたのは紛れもなく俺で。
「え、なんで…?あれ?知ってるの…?」
「………たまたまだ」
これは昔、誕生日を迎えた俺に幼いそいつがしてくれたことだった。
よちよちと一生懸命向かってきては、おもいっきり抱きついてくる。
『なぎっ!いとがぷれぜんと!』
そんなこいつが可愛くて好きだった。
豪華なものなんか無くても、俺にとっては一番のプレゼントで。
「…したくねえなら別にいい」
「するするっ!まって!」
ぽすっと、俺の腕の中に入ってくる。
ぎこちなく回された手は背中に回って、ぎゅっと抱きしめた。
それは俺も絃も両方おなじ動きをして。
「お誕生日おめでとう、那岐」
「…ありがとな」
「23歳、今年の抱負は?」
「……健康に過ごす」