光を掴んだその先に。
痛みの代償
「おかえりなさいお嬢ーーー!!!」
パァンッ!!!
パァンッ!パンッ!
クラッカーの音がいくつも飛び交って、ビニールテープとカラフルな紙切れがパラパラ目の前に散らばった。
並ぶ男たちの真ん中で笑うちょび髭スキンヘッドこと、俊吾。
「………え、…なにこれ」
なにかのお祝い…?
誕生日とか?え、だれの…?
私でもないし那岐でもない。
ってなると、お父さんとかおじいちゃんとか雅美さんとか……?
けど、そんな姿はどこにもなく。
「なにぼーっとしてんすかお嬢!卒業っすよ!卒業祝い!!」
「……は?だれの?なんの??」
「もう!高校1年生卒業に決まってるでしょう!!」
ちょっと待て。
確かに今日、卒業式だったけども。
でも花のコサージュを左胸に付けていたのは3年生で、主役も彼ら。
1年生の私はその盛り上げ役。
そして帰って早々、豪華な食卓に並ぶ男たちにクラッカーだなんて。
「聞いたことないよそんなのっ!!え、なに、これって1年ごとやるの!?」
「はいっす!!」
「いやいやそしたら3年生時の特別感の薄さよ…!!ペラッペラじゃんっ!!フライングもいいとこでしょっ!!」
「あははっ、面白いこと言いますねぇお嬢ってば」
いや、ウケを狙ったわけじゃないんだけど。
え、何ここってこんなに馬鹿ばかりなの……?