光を掴んだその先に。
「怪我した那岐を寝かせなきゃいけないからもう満員!!ごめんねありがとっ!それじゃ!」
俊吾が乗ったタイミングで鍵をかけて、そのまま発進。
荒い運転が夜の大きな橋を渡って潮風の吹く倉庫へ。
「うわぁ…刑事ドラマで犯人が居るとこだ……」
最後、追い詰めるシーンでよく使われるような場所だ。
というか那岐は1人なの?
ひとりでこんな場所に突っ込んで行ってるの…?
「なーーぎーー!!どこだーーー!!」
「那岐さーーん!!返事をしてくださーーーい!!!」
だめだ、広すぎる。
倉庫の種類が多すぎるのだ。
どの場所にいるかを聞く前に電話を切った俊吾をちょっとだけ責めたけど、今は過去。
もうどうにもならない。
「返事をしろ那岐ーーー!!お前は完全に包囲されているーーー!!!」
「隠れても無駄っすーーー!大人しく出て来てくださーーーい!!」
もう暗くなってきてるし、このままだと本当に那岐は誰にも見つからず湾に沈められてしまうんじゃ……。
「那岐ーーー!!」
「うるせえ馬鹿共。ここだ」
「那岐っ!!」
「那岐さんっ!!」
大きな照明搭の下、黒いスーツ姿の男はいた。
………え、普通に立ってるんですけど。
「怪我したんじゃないの…?出血多量って…」
「俺じゃねえ。こいつ」