光を掴んだその先に。
確かに肉まんなら使用人はちょちょいのちょいって作っちゃいそうだ。
でもコンビニで買う肉まんだからこその美味しさって絶対ある。
まだ3月だから売ってるはずだし…。
それにいつも送迎で、ぜんぜん寄り道とかも出来てないから、コンビニだって何ヵ月ぶり…?って感じだもん。
「あ、そうだ!肉まん半分こしよーよ那岐!ぜったい美味しいよっ」
「1個ずつで良いだろ。減るだけじゃねえか」
「1回だれかとやってみたかったの!それに那岐と半分こなら減ってもぜんぜん美味しいのに…」
寒いねぇ温かいねぇって言いながらパカッて。
そういうの、憧れてた。
貧乏臭いって思われちゃいそうだけど…。
「じゃあいいですよーだ。…他の人としようっと」
そんな那岐は返事を返さずに車を発進させ、ひとつのコンビニで停まった。
ほら、こういうところだ。
こういう優しさが那岐だ。
「…肉まんじゃねえのかよ」
「肉まんもあるよっ」
購入した袋から取り出したカップアイス。
寒い季節に食べるアイスほどに美味しいものはない。
まずはこちらから頂いて、そのあとに肉まんも食べるのだ。
「…バニラ好きだよな、お前」
「え?そんなに食べてたっけ?」
「……前も食ってたろ」