光を掴んだその先に。
「ったく…」と、諦めてくれたらしい那岐はパクっと皮の部分を食べた。
「……」
なんかやっぱり申し訳なくなってくる。
そんな私の持つ半分へと、顔を近づけてきたと思えば───
「あーーー!!いちばん美味しい部分なのにっ!!」
パクっと、お肉の塊を齧った。
容赦なく齧って、半分のまた半分に減ってしまった私の肉まん。
「ばぁか」
「なっ!」
ニッと意地悪に笑った顔も、初めてかもしれない。
那岐はいつも微笑んだりため息を吐くように笑う人だったから。
そうして歯を見せて、勝ち気に笑う顔なんて見たことがない。
今日は知らない那岐の顔がたくさん見れる日だ。
「もー、仕方ないなぁ。…アイスと肉まん買ってくれたし今日は許してあげるけどっ」
「あのときのアイスも俺が買ったんだぞ」
「え、あの夜の?」
男は浅くうなずいた。
確かにあのとき冷凍庫には1つしか無くてレア感があった。
……ってことは、私はこの男が大切に買っておいたものを食べてしまったってこと…?
「そ、それは知らなくて……今度買っておきます…」
「お前に」
「え?」
「お前に買っておいたんだ。あれなら食うんじゃねえかと思ってな」