光を掴んだその先に。
爽やかな甲高かった声は低さが混じり、身長も伸びて喉仏だって主張している。
華道や茶道。
そんな日本の文化を短期間でマスターして、武道では優勝経験をも果たしていた。
剣道、空手に柔道、合気道、中国武術に古武術をはじめとした全般も身に付け、組の中でも『那岐 絃織』という名前は男たちに広まって。
『あっ、待ってください那岐さんっ!!』
『早くしろ俊吾。次遅れたら刈り落とすぞ』
『ええっ!?このモヒカンがトレードマークなんすよオレ…!!』
養子とはなっているが、公には“那岐”として生きると決めたのは自分だった。
大罪人の息子でも、刺青も煙草もしなかったとしても。
俺は実力で、俺だけの力で上に立ってみせる。
『那岐さんすごいっす!!幹部候補に選ばれたって本当っすか!?』
『…まだ完全に決まってねえうちから広めたのはてめえか』
『わっ、す、すみませんっ!つい嬉しくて…!!』
それは絃織が18歳を過ぎた頃。
それまで着ていた高校の制服が、差し出されたスーツへと変わった。
『今日はある意味就職祝いっすね!!』
『…俊吾、お前モヒカン切ってスキンヘッドにしろ』
『えっ!?まだ言ってんすか…!?これはオレの───』
『そしたら俺の付き人にしてやる』
まぁ髭は残していいがな───。
今にも腰が抜けそうな年上を前に、青年は笑った。