光を掴んだその先に。




───それから4年。


その日は早朝から清々しい朝日が昇り、梅雨も終わる7月の初夏。

14年前に離れた少女の16回目の誕生日が迎えられた年。



『とうとう会えますね、那岐さん』


『…あぁ』


『14年っすもんね……すごいっす、那岐さんの愛は本物っす』



向こうは覚えてねえと思うがな───とつぶやいて、絃織は後部座席から景色を眺めた。


『そんなことないっす!』なんて言っている運転席の付き人は、絃のことを話でしか聞いていないというのに。

今にも泣きそうな顔をしていた。


ひまわり園。


あれから絃織はこの施設に顔を出すどころか、近くまで来たことすらなかった。

それは決意のため、この日を目指して日々強さを身に付けるため。


そしてようやく来れた。

記憶の中のときより、また改装されたのか綺麗な印象すら持てる建物。



『みっちゃんっ!!何事なの…!?』



その姿もまた、記憶の中のものとはすべてが違っていて。



『こ、ここになんの用ですか…?引き取ってもらえないなら警察呼びますよ…!』



───…絃だ。

変わってる、けど、変わらない。
ずっと会いたかった存在が目の前にいる。


園長へ近づいて、周りに聞こえないように伝えた。



『那岐 絃織だ。14年前、絃と手を繋いでたガキを覚えていないか』


『あなたが…!!ぜひぜひ上がってください…!!』



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