光を掴んだその先に。




「が、目の前にいるんですけど……!!えっ、執事っ!?いるよね!?夢!?」


「絃はどこにいるか知ってるか」


「へ…、絃…?」



スッと支えた手を離せば、なんとか体勢を持ち直した片方はぎゃあぎゃあ騒いだかと思えば目を丸くさせる。


ぜんぜん話が進まねえ…。

こいつらと一緒じゃないってんなら、どこにいるんだよあいつは。



「つか、学校はどうした」


「きょ、今日は半日授業で…」


「絃は何か言ってなかったか。なんでもいい、誰かと話してたりしてたか」



とりあえず俺のペースに巻き込めばいいだけの話だ。

こうして進めなければ、キャーキャー甲高い声を延々と上げつづけるだけだろうから。



「あ…、確か佳祐と話してたっけ。なんか施設がどうとかで…」


「…あっんのガキ、」


「あっ、ちょっとイケメン執事っ!せめて写真くらい撮らせてよーーー…!!」



騒ぎ出す女へ礼の代わりに舌打ちを落として、俺は店を出た。


施設……、そこにあいつは連れ戻されたってことか?

あの佳祐とかいう野郎が余計なことをしたのか。

それとも他に何かあるのか。



「え?絃ちゃん…?来てませんが…」


「佳祐くんもまだ帰ってきてないみたいですし…」



施設へ向かえば、職員である女はきょとんと首を傾げた。



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