光を掴んだその先に。
───ぱちっ。
本当にそんな音がしたんじゃないかっていうくらい、迷いなく開いた瞳。
とりあえず意識をすべて戻して、なにがあったかを分析しないと。
「…佳祐、…起きて佳祐、」
ヒソヒソと小さな声で隣に寝ている青年へ声をかける。
ゆっくり開いた意識はまだ朦朧としてるっぽい。
「ここは…どこ…?」
大きな倉庫のような場所だと思うけど…。
高い場所にある窓からは日が射し込んでいるけど、辺りはひんやり冷たく、暗い。
「…ごめん、俺は本当に施設に連れてくつもりだったんだ」
「うん、…わかってるよ」
両手両足を縄で縛られているのは私だけじゃないから、きっと彼もこんなことになるなんて思っていなかったはず。
そんな申し訳なさそうな顔を見たら責めることもできないし…。
これはもしかしたら、那岐に嘘をついてしまった罰なのかもしれない。
「ごめん…絃。俺、お前にひどいこと言って……ひどいことした…」
「…それはここを出てからぜんぶ聞いてぜんぶ怒るから、まずは縄をほどかなきゃっ」
なにを今生の別れみたいに言ってるの、この男は。
こんなときに弱気になってどうすんの、男でしょって。
そんなものが懐かしい。
女の子みたいだった佳祐にいつもそう言ってたっけ。