光を掴んだその先に。
男の腕に噛み付いたのは佳祐だった。
私の前にしゃがんでいたことで両手両足を縛られたままだとしても、飛び付けば腕の位置にまで近づける。
それを利用した青年は、男の腕を容赦なく噛んで、私から離れさせた。
「離せ…ッ!!このガキッ!!」
「やめて…っ!!佳祐が死んじゃう…!!」
男は佳祐の頭を、顔を、身体を、すべてを殴っては蹴ってを繰り返す。
倉庫に響く鈍い音。
ガッ!!
ドガッ───!!!
それなのに彼は必死になってしがみつく。
「…けい、すけ……」
まるでそれはお父さんへ抱きつく息子のようにも見えてしまって。
殴られているのに、痛いはずなのに。
それでも離さない子供は。
ずっと親を求めていた佳祐だった。
「那岐…、助けて……那岐っ、私たちを傷つけた男が…ここにいるよ……、」
目の前にいるんだよ───…。
もしそんなことが無かったとしたら、私は那岐とずっと一緒にいたんじゃないかって。
14年も離れることなく、ずっとずっと一緒に笑い合ってたんじゃないかって。
「なぎ……っ、…那岐……っ!!!」
シュン───ッ!!
「っ…!」
その瞬間、真横を通りすぎたある物。
速すぎて何が通ったのか分からなかった。
「ぐあぁぁ……ッ!!」