光を掴んだその先に。
「お姉ちゃん…!!」
「絃お姉ちゃんっ!!」
「絃姉…っ!」
懐かしい人たちに迎えられた。
施設の扉を開ければ、鼻に広がるカレーの匂い。
見ないうちに身長が伸びている弟や妹たち。
「「絃ちゃん…!」」
「…みっちゃん……、園長先生…」
元気にしてたかい?と、変わらない温かな声に抱きしめられた。
うん、元気にしてたよ。
最初は怖い場所だと思ってたけどね、全然そんなことなかったの。
「いろいろ話したいんだけど、とりあえず佳祐の手当てが先っ!」
明るい声で放てば、施設は賑やかさを取り戻した。
うしろを追いかけてくる子供たち。
手当ての手伝いをしてくれる子供たち。
「いってぇ…!!もっと優しくしろよ…!」
「大人しくしてってば!!優しくしたって滲みるものは滲みるからっ!」
「…相変わらずガサツだな」
「なっ、手当てしてもらっておいて生意気だな本当にっ!」
こんなにボロボロになって格好つけちゃってさ。
ぜったい痛かったはずなのに。
大人の男の力であそこまで殴られたんだから…。
「…ありがと、佳祐」
「……ごめん。」
正反対の言葉が返ってきた。
なんのこと?なんてとぼけたふりをして、唇の横や目の縁にガーゼや絆創膏を貼った。
キスのことだって本当は聞きたかったし責めたかった。
でも、もういい。