光を掴んだその先に。
「…あれは…、気の迷いっていうか…」
「気の迷い!?流れってこと!?」
「あ、当たり前だろっ!お前なんかに故意的にするわけねーよ!!」
「はぁっ!?」
なんっだそれっ!!
私がどんなにあのあと落ち込んだと思ってんの!?
ファーストキスがあんなにも呆気なく散ってしまうなんて……。
「あれと一緒だ!ほら、あれ!」
ビシッと佳祐は指を差す。
その先、保育園組の男の子と女の子がじゃれ合っていて。
「きゃー」なんて言って、お互いの頬にちゅっと口付けては笑ってた。
くすぐり合って、しまいにはスヤスヤと寝息に変わっている。
「…あぁ……だよね……、わかってたぁ…」
やっぱりそうだったのだ。
家族じゃなくなったらどうとか言ってたけど、結局は私たちは一緒に育って家族同然だから。
あれが普通だ。あれ以上はない。
「じゃあ私のファーストキスはまだ有効ってことだよね…!」
「まぁ…そうなるんじゃね」
「もうっ!そうなら最初から言ってよ…!でももう絶対しないから…!」
実際あのときは本当にパニックだったから、今はもうその感触とか気持ちとか、ほとんど忘れちゃってるけど…。
それ以上にドキドキすることが多いあの場所だから。
「…でも、今日の俺…どうだった、」
「え…?」
「ま、守ったぞ。……たぶん」