光を掴んだその先に。
「おまえ以外にも佳祐がいるのか」
「…いや…俺だけ」
「ほらよ」
「わっ、え…なんだこれ…、」
その手に渡されたもの。
それは1枚の写真だった。
じっと見つめた佳祐は次第に震え始めて、ポタポタと頬に大粒の涙を流す。
そんな珍しい姿にもちろん周りの子供たちは心配そうに駆け寄るけど、中々泣き止まない。
「…お前が持っておくべきだ、それは」
それは、そこに映っている女性は。
朗らかに笑う女の人だった。
昔の女の子のような佳祐にそっくりで、誰が見ても2人は親子なのだと分かるもの。
「ありがとう…っ、…ありがとう那岐さん…っ」
青年は1枚の写真をぎゅっと握りしめて大切そうに抱えた。
あの男がどうなったか、誰がその写真を持っていたのか。
もうそんなものはいらない。
ただ目の前にある今ある真実、それだけがすべてだ。
「俺、決めたんだ。ここの園を…ひまわり園をいずれ継ぎたい。
絃が何かあったときに帰って来れるもうひとつの家を……俺が守りたい」
佳祐の言葉を聞いた園長までもが涙を浮かべるから。
そしてそれはみっちゃんにも移って、子供たちにも移って。
だから私は反対に笑った。
「那岐、どこ行くの?」
施設から出て車に乗って、彼の安心な運転の中で聞いてみたけど返事はない。
屋敷の方向へは向かっているものの、その車は見慣れない道に入っていく。