光を掴んだその先に。




「公園…?」



車を停めた場所は初めて来る公園だった。
広々としていて遊具があって、砂場がある。

なぜか私はその砂場に一目散に駆け出していた。



「こんな公園あったんだねっ!」



足が縺れてしまいそうで、ローファーの中に入った砂を取り出して、ペタペタと山を作り出す私。

砂場で遊ぶなんて何年ぶりだろう。



「あー、やっぱり水がないと固まらないなぁ」


「そのへんにしとけ。また目に入ったら厄介だ」


「目…?また…?あ!もしかして昔も那岐とここに来たの?」



こんなに広いのに、人は全然いない公園。

そんな私に那岐は近づいたかと思えば、ひょいっと持ち上げるように抱っこした。



「えっ、ちょっ、あのー、私もう17になるんですけど…」


「知ってる」


「下ろしてっ!恥ずかしいってばっ!」



駐車場とは正反対。

入り口からも正反対の方面へ、スタスタ迷いなく歩いてゆく男。



「もーー那岐っ!あっ、いま変なとこ触った…!」


「…触ってねえよ。歌でもうたっとけ」


「わぁ本当だぁ夕焼け小やけだぁ…って、なるかっ!!」



たとえ暗くなりつつあるとしても、誰かに見つかったら明日から生きていけない……。


「ねぇお母さん、どうしてあのひと大きいのに抱っこされてるの?」なんて、そんな純粋無垢な子供の質問が聞こえたならば終わりだ。

しっ、見ちゃ駄目よ…!ってやつ…。


そんな私などお構い無しの那岐は、公園の裏口から出てしばらく歩いて、とある場所で止まった。



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