光を掴んだその先に。
「私はどこに連れて行かれるの…」
今度は空き地だ。
公園からそう遠くない空き地。
芝生のように草が生い茂っている場所と、砂利が敷き詰められているスペースがあるような。
そしてようやく、その芝生の上にポスッと優しく下ろされる。
「え、姨捨(おばすて)的なやつですか……、ここに置いて行かれちゃうの私…」
「んなわけねえだろ」
だって何もないよここ…。
こんなところで下ろされるくらいなら、まだ抱っこされていたほうが全然いい。
ただ恥ずかしいだけで嫌じゃないのだ。
だから私たちしかいない部屋でだったら全然ウェルカムなのに。
「絃。…俺が、お前だけは絶対に守るよ」
「…!」
その声はぜんぜん違くて。
記憶の中のものは、もっと高くて細いもので。
私が知ってる那岐はもっと乱暴なのに。
それでも───…重なった。
記憶の中にずっといた子が、目の前にいる。
座り込む私にそっと視線を合わせるようにしゃがんだ瞳は、何よりも優しい。
「…やっと……守れた、」
震えている。
その瞳も潤んでいて、あぁそんなの見ちゃうと逆に笑わなきゃって。
だって私が赤ちゃんの頃はいつも泣いてた私を抱っこしてあやしてくれてたんでしょ…?
それだったら、今度は私が大丈夫だよって言ってあげなきゃ。
いつも静かに涙を流していたその子を。