光を掴んだその先に。




「いつも…守ってくれたよ。那岐はずっとずっと、ぜんぶ、いつだって守ってくれてる」


「…こんな傷を、つけさせてもか」



サラッと視界が明るくなって、額が涼しくなった。


「こんな」なんて言わないで。

だってこれは私たちにしか無いすごいものなんだよ。


もちろんあの男は許せない。
許せないけど……もういま、ぜんぶ解決した。

那岐がその悲しみを消してくれたから。



「うん。…これで心置きなく冒険の書を探しに行けるね」


「…まだそんなこと言ってんのかよ」


「だって私、那岐がいるならどんな敵が来てもへっちゃらだよ」


「強ぇぞ竜王は。お前にはスライムくらい倒して欲しいがな」


「倒すよ…!那岐と一緒ならぜんぶ倒せちゃうねっ!」



その冒険の先には何があるんだろう。

きっと今までに見たことない光に包まれた場所だ。

でも私の隣には、いつだってこんなにも綺麗で眩しくて強い光がいるから。



「だから次は……私が那岐の悲しみを消してあげたいなって、思ったり…」



私が勇者になって剣を手にし、那岐の前に立つ。

どんな敵が目の前に現れたって。

たとえそれがどうしようもなく大きな存在だとしても。



「那岐がいるなら私っ、どんな相手でも───…っ!」



ゆっくり近づいた唇は、私の額の傷に重なった。



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