光を掴んだその先に。
想いと口実
「お嬢!誕生日おめでとうございます!!」
ありとあらゆるご馳走を前に、男たちは一斉に頭を下げた。
この場所のお祝い事の気迫とやらには慣れたつもりだったけど、やっぱりぜんぜん慣れない……。
「さぁ17歳の抱負を…!!」
そんな乾杯の挨拶を期待されたって何も言葉は用意してなくて。
でもそんな無茶振りに答えなければいけない空気感…。
「抱負…抱負は……えっと、あ!健康に過ごしますっ!!」
「えー、お嬢!こういうときくらいもっと大きくいきましょうよ!!たとえば…彼氏を作る!!とかどうっすか!!」
「か、彼氏…!?変なこと言わないで俊吾っ!!」
ドッと男たちのからかう声に包まれて、私は何故かチラッと静かに座る男へ視線を移してしまった。
……この上なく機嫌が悪そうなのでスッと戻す。
「俺のかわいい絃に彼氏なんか100年早いってんだよ。なぁ、絃織」
「無論です」
お父さんの言葉に間髪を容れず那岐はうなずいた。
「いやいや絃ちゃん17歳だよ?たとえ親でも周りがどうこう言う話じゃないでしょーよ」
「…なんだと?天道、表出るか?」
「勘弁してくださいって」
内なるお父さんの出没に誰もが顔を青白くさせる中、いつもの調子で軽くあしらう陽太。
そんなこんなで私は17歳になったらしい。