光を掴んだその先に。




おうおう勝手にしてくれ。

でも雅美さんはすっごい綺麗な人だし、見るからに大人で高嶺の花って感じだから、陽太なんか相手にされないに決まってる。


……てか、こいつ彼女いるよね確か。

前に俊吾のベンツで会いに行ってたよね…?



「とりあえずありがと陽太!また明日っ」


「また明日って、俺もここで暮らしてるけど」


「そうだったおやすみ!」


「まだ昼なんだけど絃ちゃん」



そんなコントを繰り広げて「ダメだこりゃ」と、陽太は笑った。

だめだこりゃ……。


とりあえず私はフラフラとおぼつかない足取りを必死に動かして、雅美さんを探すことに。

確か当分はこの屋敷にいるって言ってたし…。



「あら絃ちゃん。いいところに来た」



ガサゴソと物置部屋を漁る雅美さんは、私を見つけると丁度いいと言うように手招き。


うわ、物置部屋ってレベルの広さじゃない…。

ここ書斎なの…?ってくらいの広さだ。
ひと住めるって、普通に。



「今ね、昔の写真を整理してたのよ。これ誰だか分かるかしら」


「…これ……お父さん…!?」


「当たり。その隣の小さいのが私ね」



差し出された1枚には若い父がいた。


わ、あまり変わってない…。
確かに今よりも私に似てる気もする。

私に似てるというより、私がお父さんに似てるんだけども。



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