光を掴んだその先に。
15歳くらいの父の隣に、8歳くらいの女の子がいて。
どうやらそれが雅美さんらしい。
ぜんぜん面影がある。
やっぱり美人な人は小さいときも可愛いんだなぁ…。
「ふふ、懐かしい。これみんなで餅つきをしたときじゃないかしら」
「あははっ、おじいちゃんも若い」
「髪の毛がまだあった時代ね」
確かにふさふさしてる…、
すっごくふさふさしてる……。
今はちょっと爽やかになっちゃってるけど。
おじいちゃんはこの頃もきっと、女性のお尻を追いかけ回していたに違いない。
「あったあった!これ絃織ちゃんじゃないかしら!」
そこには本を片手に縁側に座る少年。
6歳くらいの男の子だ。
私が生まれる少し前だろうか。
「……那岐だ…、」
今とはやっぱりぜんぜん違うけど、違うのに那岐なのだ。
私の記憶にいる少年が1枚の写真の中にぎこちなく写っていた。
「あ、これは剣さんと写ってる」
「…本当だ…」
「それでこれが───…」
雅美さんは優しく微笑んで私を見つめた。
そっと目の前に見せられた1枚には、私に良く似た女性の姿。
膨らむお腹を慈しむように見つめて、隣には先ほど縁側に座っていた少年とお父さんがいた。
「あなたのお母さん、美鶴ちゃんよ」
那岐はさっきの写真より、ずっとずっと可愛らしく笑っている。
そのお腹に同じように手を当てて笑ってる。
「…これ…、もらってもいい…?」
「…もちろん。美鶴ちゃんも喜ぶわ」