光を掴んだその先に。




そして私はそれと、もう1枚貰った。

それは小さな赤子をおぶる少年の後ろ姿の写真。


どうして正面のものは無いのかと不思議だったけど、どうにもそのふたりの写真はこの1枚しか撮られていないらしくて。


おんぶ紐でおぶる少年は那岐だ。

そして背中に乗る赤ちゃんは、間違いなく私。



「…ありがとう、雅美さん」



こんなこと思うのは最低かもしれないけれど、これが何よりの誕生日プレゼントになってしまった。


こういう家族の写真は今まで縁の無いものだと思っていた。

持っているとすれば、施設の子たちと保母さんや園長先生との写真しかなくて。



「那岐は、どうしてここに来たんだろう…」



もしかして私の遠い親戚とか、そういうのだったりするのかな。

いやでも親戚にも“那岐”という苗字はどこにも無かったような気がする。


お母さんの旧姓も雅美さんの苗字も“那岐”ではないから。



「まぁいっか!ふふっ、この写真は宝物にしようっ」



この小さな男の子と赤子の写真はとくに。


お財布とかに入れておこうかな…?
常に肌身離さず持っていたいし…。

でもお金を出すと同時に落としちゃったら嫌だなぁ。



「もう1つの写真は部屋に飾るとして……
あっ!そうだっ!」



パスケースっ!


今は毎日送迎つきでもう使われていないものだから、ちょうど使えそうだ。

それは遠くから隠し撮りのように撮られたものだから、周りを切り取っちゃう形になるけど…。



「完璧じゃんっ!」



逆にアップされたようにサイズはピッタリだった。



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