光を掴んだその先に。
へぇ~珍しい。
那岐のそういう交流関係の話って、あまり聞いたことないから興味が湧く。
「那岐、かぁ…」
毎日顔を合わせてるし、普通に挨拶もするし、普通に話す。
けど…やっぱり胸はいつだってドキドキバクバクだ。
「あっ、お嬢っ!おかえりなさい!」
「…なにしてるの俊吾」
屋敷へ上がれば客間の手前、襖の先をどうにも覗こうとしている背中を発見した。
私に気付くとウィスパーボイスでちゃんと挨拶をしてくれるあたりが俊吾っぽい。
というか、そんなに隠れてないで中に入ればいいのに……。
あ、でもお客さんがいるってこと…?
「やばいっすよお嬢…!縁談っす!とうとう那岐さんにも春が訪れたんですっ」
「………え?」
ごめん、ちょっと上手く聞き取れなかった。
俊吾ももう少し声張ってくれないと聞こえないよ。
それに今は春じゃなくて夏だ。
セミだって鳴いてる。
暑いから早くアイス食べたいのに。
「うっわ…超絶かわいいんだけど。てかさ、おっぱいでかくない?メロンでも詰めてんのあれ」
俊吾と同じように襖の隙間から中の様子を伺った陽太は、相変わらずだ。
思わず私も2人に重なるように目を凝らして見つめた。
お父さんと、那岐と、知らないおじさんと───…めちゃくちゃかわいい子がいる。
「どこかで見たことあるような……」
「え、お嬢の知り合いっすか?」