光を掴んだその先に。
あの制服、有名なお嬢様学校だ。
グレーのブレザーにピンクのチェック柄をしたリボン。
スカートだってリボンと同じ柄をしているから、誰もが目で追ってしまうような。
こーんなありふれたセーラー服とぜんぜん違って可愛いから羨ましいのなんのって。
……あ。
「あーーー!!!」
「ちょ、お嬢っ!ボリューム!声のボリューム間違えてます…!!」
「あの子っ!私がいつぞやかに助けた子!!俊吾もいたでしょあのとき…!」
「ちょっと絃ちゃんうるさいって。バレる、もうバレる」
そんなこんなでガタガタやっていれば、中の数人が気づくのは当たり前で。
立ち上がった那岐が襖をスッと開けてしまった。
「なにしてんだよ」と、目が語っている。
「まぁ、覗き見?」
なんで陽太は隠そうともしないの。
素直なことは確かに良いことだよ?
うん、嘘はよくない。
嘘をついて馬鹿を見た経験は幾度かある私なので。
「絃、いま帰りか?ちょうどいいとこに来たな」
「おお、彼女が絃さんですか」
「ええ、うちの一人娘です」
お父さんが敬語を使うなんて珍しい。
そんなにも相手側の方はお偉いさんだったり…?
そんなお父さんに手招きをされてしまえば、似合ってるスーツ姿とセンス悪いスーツ姿の間に必然的に座った。