光を掴んだその先に。




「はじめまして。高柳(たかやなぎ)といいます」


「…たか…やなぎ……。は、はじめまして天鬼 絃です」



これもまたどこかで聞いたことあるんだよなぁ……。

ってことは、目の前のお嬢様の名前は高柳さん…?そもそもここはどういう場なの…?


縁談って……、俊吾は言って……た……?



「絃さんはドライヤーとか使うかい?」



そんなおじさんの唐突な質問に、コクンとうなずいてしまった。


ドライヤーを使わなければ次の日は大爆発だ。

いつもお世話になってる必需品。



「なら冷蔵庫は?」


「も、もちろん使います…」


「電子レンジ、エアコン、洗濯機」


「使いますっ」



そこまで言うと、目の前の男は笑った。



「それはぜんぶうちが作ってるものだよ。大手家電メーカーの高柳、聞いたことないかい?」


「……え、……えっ、あのCMとかやってる!?」


「お、観てくれているなんて光栄だ」



いや、観るっていうか…。

テレビを流していれば必ず流れてくるから、観るしかなくてテーマソングも口ずさめちゃったりする。

まさかそんな人が目の前にいるとは。



「いつかに娘を助けてもらったようで、ありがとうね」


「いえ…ぜんぜん、」


「だからこそこんな偶然があって嬉しいよ。まさか娘から出された相手が、天鬼さんと縁のある優れた彼だなんて」



すると男は今度、那岐へ視線を移した。


まって、まったく話に追いつけない。

動け私の脳。
お願い仕事して、情報分析能力……。



< 226 / 349 >

この作品をシェア

pagetop