光を掴んだその先に。
「はじめまして。高柳(たかやなぎ)といいます」
「…たか…やなぎ……。は、はじめまして天鬼 絃です」
これもまたどこかで聞いたことあるんだよなぁ……。
ってことは、目の前のお嬢様の名前は高柳さん…?そもそもここはどういう場なの…?
縁談って……、俊吾は言って……た……?
「絃さんはドライヤーとか使うかい?」
そんなおじさんの唐突な質問に、コクンとうなずいてしまった。
ドライヤーを使わなければ次の日は大爆発だ。
いつもお世話になってる必需品。
「なら冷蔵庫は?」
「も、もちろん使います…」
「電子レンジ、エアコン、洗濯機」
「使いますっ」
そこまで言うと、目の前の男は笑った。
「それはぜんぶうちが作ってるものだよ。大手家電メーカーの高柳、聞いたことないかい?」
「……え、……えっ、あのCMとかやってる!?」
「お、観てくれているなんて光栄だ」
いや、観るっていうか…。
テレビを流していれば必ず流れてくるから、観るしかなくてテーマソングも口ずさめちゃったりする。
まさかそんな人が目の前にいるとは。
「いつかに娘を助けてもらったようで、ありがとうね」
「いえ…ぜんぜん、」
「だからこそこんな偶然があって嬉しいよ。まさか娘から出された相手が、天鬼さんと縁のある優れた彼だなんて」
すると男は今度、那岐へ視線を移した。
まって、まったく話に追いつけない。
動け私の脳。
お願い仕事して、情報分析能力……。