光を掴んだその先に。
「高柳 桜子(たかやなぎ さくらこ)です。よろしくお願いします」
追いつけない私を前に、大きな(なにが、とは言わないけど)少女は丁寧に頭を下げた。
高柳 桜子。
どうやら私より1つ年上の高校3年生らしい。
え、これって誰の縁談…?
なんか流れ的に私……??
いやそんなわけあるかっっ!
「天鬼さんには昔からお世話になっているからね。桜子は今年高校を卒業、ちょうどいいタイミングだと思いませんか」
そうだ、那岐も最初言ってたっけ。
どの大手企業もバックには必ず天鬼組がいるって。
ってことは、この大手家電メーカーさんの後ろ楯にも天鬼組が関わっているってことだ。
すごいよ天鬼組……。
「ぜひ、桜子と那岐君の縁談を前向きに検討してほしい」
それは、雷。
100万ボルトが私の身体を突き抜けた。
「それにもう少しで夏休みに入るので、良かったらその期間だけ桜子をここに住まわせてやってほしいんです。…今後の話も兼ねて」
起きろ、起きろ私。
いや起きろっていうか、とりあえず生きろ。
まずは呼吸を始めてみるところからでいいから、ゆっくり深呼吸だ。
すーーー………、はーーーー……、
「え、……那岐……結婚、する…の……?」
「理解力おそすぎて笑う」なんて、陽太の声が聞こえたような気がするけど相手にする余裕なんかない。