光を掴んだその先に。
だって縁談……って、結婚するためにあるようなものだ。
ご縁があれば、仲良くなれれば、気が合いそうなら次のステップ踏みましょうって。
「縁談…!?結婚!?那岐が…!?」
「ははは、まだ決まったわけじゃないがね。いい話だとは思うんだ」
そこからお付き合いをして、婚約をして……。
いや、そもそも縁談を受けてしまったらイコールそれはお付き合いなんじゃ…。
いや、婚約じゃないの……?
「おやっさん、俺は今はまだ自分のことで手一杯です。誰かの人生を背負えるような人間では───」
「絃織、組長が今どんな状況か知ってるか」
那岐は言葉を止めた。
え、おじいちゃん何かあったの…?
確かに最近ずっとずっと顔を合わせていなかった。
組長の生活する部屋には極力近づいては駄目で、ガードマンもいたりして安易に会いに行けなくて。
……まぁ、会いに行ってない理由は他にもあるんだけども。
「組長が入院してることはお前も知ってるだろう」
「…はい」
「もし俺がいずれ次期組長になったとき…そのときは絃織、お前に頭の座を渡したいと思ってる」
ごめんお父さん、全然わからない……。
次期組長がお父さんになるの…?
それはおじいちゃんが組長ではなくなったらって話だ。
え…、おじいちゃん入院してるの……?
もういろいろ分からないことだらけだ。
「…俺は、この組を引っ張るがために幹部まで上り詰めたんじゃない。それはおやっさんも知っているはずです」
「あぁ、だが俺は昔おまえに言っただろ」
彼らは目で、会話をした───。