光を掴んだその先に。




そんな私をじっと見つめて、「あ。」と口を半開きにしてる那岐。


え、なにしてるの。

そんな変顔したって格好いいだけなのに…。



「500円払う」


「え…」



あーん、だ。絶対そうだ。

那岐のこんな姿、ぜったい私しか見れないに決まってる。

いや、そうじゃなきゃ嫌だ。



「那岐には特別サービスで、無料で…あげる」



ここだ、冒険を始める場所は。
ここからスタートだ絃。

ゆっくりすくって、その口へ運ぶ。


ふっと笑った那岐は、パクっとアイスごと口を閉じた。



「うめえな、…もう一口」


「えっ、じゃあこれぜんぶあげるっ!」


「それじゃ意味ねえんだよ。…いつぞやかの肉まんと一緒だ」



肉まん……?あ…、あった。

確か私、そんなこと言ってたような気がする。

寒いねぇ温かいねぇって言いながら半分こする肉まんに憧れてた私。


でもそれは、私は那岐とだったからなんだよ。


那岐としたかった。

だから那岐との半分こは減っても絶対おいしいって言った。



「昔は那岐が私にアイス分けてくれてたなぁ」



ピクッと、眉を上げた隣の男。


思い出したの、前に。

佳祐と一緒に拐われたとき、意識が遠退いた瞬間に忘れていた記憶をまたひとつ思い出した。



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