光を掴んだその先に。




「…陽太ってさ…良いヤツだよね」


「……はい?」


「だってそう言いながらも私の話いつも聞いてくれるし…」



今だって落ち込んでるんじゃないかって気にかけてくれてるんじゃないの?

なんていうか、陽太といると気楽だ。

もちろん失礼な奴だからヒヤヒヤすることばかりだけど…。



「本当に気づいたら友達になってるんだねぇ」


「…馬鹿だよね、絃ちゃんって。」



うんうん、もう認める。
私ってきっとすっごく馬鹿なの。

だから変に意地張っちゃうし、上手くできないし、那岐を責めちゃうし。


本当に嫌になる…。



「この世界に身を置いてるなら…そうやって人をすぐ信用しちゃ駄目だよ絃ちゃん」



そのまま陽太が部屋を出ていったタイミング、屋敷内に騒がしい足音が響いた。


思わず私も音のするほうへ向かうが、そこにはすでに那岐の姿。

そして奇襲されたのだと分かるくらいにボロボロな姿の俊吾含む数人がいた。



「俊吾っ!何事…!?」


「お嬢…ちょっとしくじったみたいっす……、龍牙組に襲われました…」



右肩をナイフで切りつけられたのだろう。

今は包帯をしているけど、他の数人も顔に暴行を受けたと見える痣が目立っていた。


龍牙組……忘れた頃にやってきた。

最近その名前は当分聞いていなかったから、一瞬「なんだっけ」と思ってしまった。



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