光を掴んだその先に。
壊れゆく先にあるもの
「組長が…朝方、───…息を引き取った」
別れというものは突然にやってくる。
どよめき、ざわめき。
立ち上がる者、吠える者。
「殺してやる」と見えない敵に挑発する者、様々だった。
だけど静けさはどうしたって出てしまう。
その静けさだけは、この場に似合わないもの。
「どう…して……おじいちゃん前は元気だったよ…!!それに那岐だって手術すれば平気だって言ってたのに…!!」
「…わからない、昨夜とつぜん苦しみだして…そのままだって、」
「わからないってなに!?……なに、それ…」
それって…。
それってもしかして……。
「…他…殺…?」
その途端、怒り狂ったように広間を出て行った数人の組員。
だって考えられない話じゃないから。
この世界はいつだって、誰かの命が誰かによって狙われている。
「おやっさんがもうすぐ来る。…通夜は明日だ、全員心構えをしておけ」
それは夏休みも半ばに入った頃だった。
入院していたおじいちゃん───天鬼組組長、天鬼 道玄が突然息を引き取った。
突然のことで連絡を受けた那岐でさえも動揺していて、それから屋敷内は冷たい空気が続いていた。
たくさんの人が訪れた通夜、葬儀は素早く行われ、あっという間に彼の仏壇が部屋に置かれて。
「絃ちゃん、これお爺様の仏壇に持って行ってもらえるかしら」
「…うん」
雅美さんから彼の好物だった饅頭が渡された。
こうしていればいつもお尻とか触ってきたのに、今はそれが……ない。