光を掴んだその先に。




「俺がせっかく屋台無料券あげたんだから楽しんで来てよー?」


「お前らも行くなら一緒でいいだろ」


「え?ごめん、ちょっとなに言ってるか分かんなーい」



屋台無料券ってなんだ。

そんなのあるんだ……。
それだったら私にくれればいいのに。



「俺たちはあとで向かうよー。あ、今日は帰ってこなくてもいいんだよ?」


「19時までには帰る」



19時……って、只今時刻は18時20分。

それって往復の時間しかなくない…?

それはちょっとさすがにいくらなんでも早すぎるて。



「行きましょう絃織さん」



腕を組むように桜子ちゃんは屋敷を出て行った。

その背中が見えなくなるまで見送って、私も行こうかなぁなんて思い始めて。


かわいいワンピース着てた…。

別に対抗ってわけじゃないけど、那岐はああいうの好きだったりするのかなって。



「お、いいじゃんそれなりに」


「…それなりってなに」



あの日以来に着たワンピースは、やっぱりまだ慣れてはくれない。

走れないだろうし汚したくないから迷ったけど、今日くらい良いかなって。

髪の毛はいつも通りポニーテール。



「でもやっぱりぜんぜん桜子ちゃんのほうが大人っぽい…」


「まぁね?そりゃあの子メロン持ってるしね?絃ちゃんはミカン?」


「なっ…!セクハラじゃん…!!リンゴくらい欲しいよ私だってっ!!」



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