光を掴んだその先に。
おにいちゃん……?いもうと……?
だれが……?
だれ、と……?
“僕たちは血が繋がってないけど…”
“こーら絃織。それは言わない約束”
“…うん、ごめん母さん。でも僕は君の…お兄ちゃんだから、絶対に守るよ”
“お兄ちゃん”だから、絶対に守るよ───…。
「……なに……それ……」
私たちは、私たちは……。
ぜんぶ、わかってしまったような気がした。
最初から馴れ馴れしく名前を呼び捨てしてきたことも。
私を見てみんなどこか何かを隠す顔をして、桜木が私たちを見て懐かしむように見つめていたことだって。
お父さんが那岐の誕生日にケーキを買おうとして、おじいちゃんもお父さんも名前で呼んでいたことも。
俊吾がいつも言ってくれていたこと。
雅美さんがあのとき話していたこと。
陽太が私だけは無理だといつも言ってたこと。
ぜんぶ、こういうことだったのかって。
「ごめんねお待たせ絃ちゃん───って、死んでる?顔面蒼白だけど」
「……なんだ、…そーいう、こと…」
どうしてそこまで守ってくれて、どうしてそんなにもぜんぶ我慢してくれるのかなって。
変だなぁって思ってたんだよ。
特別って、みんな言ってくるから。
このたったの1分半に、ぜんぶ詰まってた。