光を掴んだその先に。
「お、ガキのくせにオンナ連れてんのかよ」
「嬢ちゃん、天鬼 絃ってオンナ知らねェか?どーにも、このあたりに居るらしくてよ」
───…それは私だ。
間違いなく、私。
ゲホゲホと咳き込む佳祐は、「そんな女知らねぇよ」と繰り返している。
そして小さな2人もぶんぶんと必死に首を横に振っていて。
「ったく、天鬼組の奴らめ…娘をどこに隠したんだ」
「早く拉致っちまえば俺たち龍牙組のモンだってのに」
龍牙組(りゅうがぐみ)、それはきっと天鬼組からすれば厄介な相手なのだろう。
男たちの会話の内容からでも読み取れた。
『…お前の大切な人が傷つく羽目になるかもな』
『てめえの“家族”が危険な目に遭ったらどうする』
これだったのだ。
彼が言っていた言葉は、このときのためにあった。
本当は薄々気づいてた。
みんながよそよそしくなったことも、怪我をして帰ってくる家族が増えたことも。
「絃…っ、馬鹿…!下がってろ…っ」
前に出た。
男たちの前に怯えることなく身を差し出す。
佳祐の嘆きに男は「絃?」と、当たりくじを前にするかの如くほころばせる顔。
しまったと佳祐は思っているのかもしれないけど、ちょうどいい。
…もういいよ、佳祐。