光を掴んだその先に。




いやそれはその意味が理解できないわけじゃなく、そういうのをしないとか不純なものでもなく。


そもそも毎日一緒に暮らして同じように送迎されて、お稽古してもらったり。

なんていうか、今までと変わらないから。


変わったといえば……。



「わっ!ちょっ絃っ、鼻血っ!!鼻血でてるからっ!!」


「ちょっ…!ほらティッシュ…!!」



キスが追加されるようになって、甘い顔をしてくれるようになって、たくさん触れてくれるようになったことくらいかな!

………なんて、言えるわけがない。


でも改まって「付き合おう」とかはとくに言われてないから、付き合ってるの?って聞かれたら首を傾げてしまう。


ただスピーディーだった、すごく。

ずっと隠されていた秘密を知って、気持ちを伝えてからの流れが。

あのお祭りのあとは、私のお腹が鳴ってしまってその先はしなかったのは確か。



「那岐…、」


「ん?」


「えっと…いま、お茶を立てようとしてて、」



これじゃあお茶立てれない…。

こんなにぎゅっと抱きしめられてしまっては。

この人、立てさせる気がないんじゃないかって思ってしまうくらい。



「あぁ、別にもうそこまで教えることねえからな」



こうなるの?

すっごく乱暴で俺様だった人って、1度心を開くとこんなに甘えん坊になっちゃうの…?


いやでも昔の那岐はすっごく優しかったし…。

でもこんなギャップがあるなんて、どちらにせよ驚きだ。



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