光を掴んだその先に。
「…私が、天鬼 絃だよ」
私と彼らは違うという理由をひとつ持っていた。
彼らが話す「あまき」と、私の「あまき」は1つだけ異なっていたから。
「天鬼」という名が本家なのだろう。
だけど私は今までずっと「天城」という名で生きていた。
だから違うって、思ってたけど───…
「目当ては私だっていうなら…拉致っていい。だからこれ以上、関係ないみんなを傷つけないで」
ちがくない。
私の問いかけを昔から逸らされてきたのだって、「いずれ分かるよ」と必ず言われていたのだって。
あぁ、このときのためだったんだ…。
「こいつはラッキーだな。…ほう、確かに天鬼 剣にどこか似てんじゃねェか」
「あぁ、こりゃあ今後が楽しみだぜ」
ねぇ、極道ってなに…?
お父さんもおじいちゃんも悪い人なの?
顔すら覚えてないし、お母さんのことも知らないし、あのスーツ男が何者なのかも分からない。
それでも私が居ることで誰かが傷つくなら、大切な人が涙を流すなら、身を差し出す以外の選択肢ってある…?
「絃…っ!行くなっ!約束しただろ…!」
「お姉ちゃんっ!!お姉ちゃぁぁんっ」
「行かないでお姉ちゃん…っ」