光を掴んだその先に。




でも今、私は那岐とショッピングモールを歩いてる。

カップルかどうかは微妙なところだけど、それでも2人で歩いてる…。


夢みたいだ。

こんな日が来るなんて夢みたいだ。



「那岐っ、タピオカ飲みたい!」


「たぴおか?なんだそれ」


「えっ、知らないの!?グミみたいにモチモチしててね、女子高生に流行ってるんだよ」


「…それを24になる男に飲ませるのか」



無事に参考書をゲットして、ぶらぶら宛てもなくお店を見て回る。

すれ違う高校生カップルや、那岐くらいの年頃のカップル。


そんな中に私たちも溶け込めている……らしい。



「うん、だめ…?」



那岐、そーいうの苦手だったり…?

確かに那岐がタピオカって違和感の塊だけど…。


でもほら。

なにも言わずにタピオカ屋さんに向かってくれるのがこの人。



「那岐はどれにする?やっぱりミルクティー?」


「お前は何がいいんだ」


「えっと私はねぇ……あっ!いちごオレ!」


「じゃあそれひとつ」



「かしこまりました」と、店員さんはドリンクを作り始めた。


当たり前のように那岐はお会計を済ませて、差し出されたものはタピオカ入りいちごオレがひとつ。

それは半分こだ。

那岐は最初からそうするつもりで私の好みを聞いていたらしい。



「おいしいっ!はいっ、那岐どーぞ!」


「…ん、甘ぇな」


「やっぱり甘すぎるの嫌い…?」


「いや。お前とならうまい」



こんな台詞をサラッと言ってしまう罪な男、那岐 絃織(23)。



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