光を掴んだその先に。



「…俺も初めてだ」


「え、那岐も…?」


「あぁ。学生のときもこういうのはしたことがない」



那岐も高校生してた時代があったんだ…。

そりゃあるか。

でもきっと制服姿もすっごく格好いいんだろうなぁ。


変わらずモテちゃって、彼女とか居たりして。



「学校終わってそのまま稽古だった」


「稽古…?茶道とか…?」


「いや、俺の場合は格闘技全般だな。毎日遅くまで道場に通ってたんだ」



だからあんなにも強いんだ…。

いつから習ってるんだろう、なんて質問は自分の中で解決しつつあった。


きっとそれは私と離れてから。

私を守れるようになるために、毎日遅くまで稽古していたんだって。



「だから今…、お前と来れて嬉しい」



幸せにしてあげたいって、思った。

この人を私は毎日笑顔にしてあげたいって。

そのためならこうしてタピオカなんて何杯も飲めるし、たくさんかっこいいって言う。


那岐が喜んでくれるなら何だってできるような気がした。



「…那岐、もう帰ろう。車に行こう」


「もういいのか?まだタピオカ残ってるだろ」


「うん…。車でも飲めるから、…ふたりになりたい…」



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