光を掴んだその先に。
初めてのデートはもちろん夢みたいで楽しかったけど、やっぱり2人になりたい。
だって屋敷に戻ったら教育係と一人娘に戻っちゃうから…。
「っ…!」
ぐいっと腕が引かれた。
引っ張られるようにベンチから立ち上がって、そのまま繋がれるように重なって。
私いま、那岐と手繋いでる…。
「今カップルで来られたお客様に半額セールやってるんです~」
ジュエリーショップの店員さんに見つめられたけど、スルー。
“カップル”って言われた。
胸がきゅっと潰れるくらいに苦しくて、それなのに嬉しい。
「わ、もう真っ暗…」
入ったときは夕暮れ空だったのに、もう外はお月さまが見えていて。
入店したときよりも外観のライトアップがキラキラと輝いている。
そのまま駐車場に向かって黒ベンツの前、なぜか開けられたドアは後部座席。
そのまま乗り込んだ私に続いて那岐も足をかけた。
「どうしたの…?ちょっと休む…?」
「あぁ」
後部座席の窓はスモークガラスとなっていて、外からだと見えない仕様。
それに夜だし人目も無くて。
「わっ、」
すると那岐はぎゅっと抱きしめてきて、ローファーを脱がされるように膝へ乗せられる。
「俺も、…ふたりになりたかった」