光を掴んだその先に。
「チッ、この女…ッ!!」
「静かにしやがれッ!!大事にさせる気か…!!」
日本でもトップの組織なんでしょ?
こんなにあっさり孫娘を拐われるほど落ちぶれてるの?
いつも見守ってたストーカー染みた護衛はなんだったの。
隠れてやってるつもりだったんだろうけど、昔からバレバレなんだからね。
呼ばなきゃ、あの人を。
確か───…
「な、なぎ…っ!!那岐っ!!助けて…!!」
その瞬間。
ふわっと身体が宙に浮いたかと思えば、その男の香水の香りが広がる。
見た目と違って甘く、優しい香りなのだ。
鈍い音すらせずに気づけば身体は自由になって、ポスッと抱えられた。
「ったく、遅ぇんだよ馬鹿」
舌打ちをするかのように落ちてきた言葉。
私の腕を掴んでいた男たちは音もなく地面に倒れている。
「てめえ、そのまま拐われてたら俺も殺されてただろうが」
「…え、…なんで…」
「お前の教育係だっつったろ。それくらい責任重大なんだよ、俺の立場は」
すぐに部下と思われる数人が私たちを囲んだ。
彼は誰かに連絡を入れて、「問題ありません」と伝えてスマートフォンをしまう。
「「「お嬢!!!ご無事で何よりです…!!」」」
一斉に私へと頭を下げる男たち。
その中に那岐の付き人である“俊吾”もいた。
なに、“お嬢”って…恥ずかしすぎるんですけど。
それにこんなスーパーの裏手に集まるには多すぎるでしょっ!逆に悪目立ちするじゃん!!