光を掴んだその先に。




「チッ、この女…ッ!!」


「静かにしやがれッ!!大事にさせる気か…!!」



日本でもトップの組織なんでしょ?

こんなにあっさり孫娘を拐われるほど落ちぶれてるの?


いつも見守ってたストーカー染みた護衛はなんだったの。

隠れてやってるつもりだったんだろうけど、昔からバレバレなんだからね。


呼ばなきゃ、あの人を。


確か───…



「な、なぎ…っ!!那岐っ!!助けて…!!」



その瞬間。

ふわっと身体が宙に浮いたかと思えば、その男の香水の香りが広がる。


見た目と違って甘く、優しい香りなのだ。


鈍い音すらせずに気づけば身体は自由になって、ポスッと抱えられた。



「ったく、遅ぇんだよ馬鹿」



舌打ちをするかのように落ちてきた言葉。

私の腕を掴んでいた男たちは音もなく地面に倒れている。



「てめえ、そのまま拐われてたら俺も殺されてただろうが」


「…え、…なんで…」


「お前の教育係だっつったろ。それくらい責任重大なんだよ、俺の立場は」



すぐに部下と思われる数人が私たちを囲んだ。

彼は誰かに連絡を入れて、「問題ありません」と伝えてスマートフォンをしまう。



「「「お嬢!!!ご無事で何よりです…!!」」」



一斉に私へと頭を下げる男たち。
その中に那岐の付き人である“俊吾”もいた。


なに、“お嬢”って…恥ずかしすぎるんですけど。

それにこんなスーパーの裏手に集まるには多すぎるでしょっ!逆に悪目立ちするじゃん!!



< 31 / 349 >

この作品をシェア

pagetop