光を掴んだその先に。
「同じ施設だったら…っ、陽太と同じ施設だったら…私は、絶対に友達になってたのに…っ!」
「……なに……言ってんの、」
「いじめられてたら私がそいつらを蹴り飛ばして…っ、ぜったい、そんな寂しい思いさせなかった…!!」
悔やんでいるのだ、こいつは。
同じような育ちをしていたのにどうして救えなかったのかと。
誰よりも天道の寂しさが分かるのに、どうして自分は何もしてあげられないのかと。
「…俺は根暗でゲームばっかで…友達なんかになってもつまんないよ、」
「だって今なってる…っ!知らないの陽太…、友達って、気づいたらなってるものなんだよ」
大きく目を見開く天道。
カタ、と一瞬、拳銃が震えた。
そして絃は今度俺を見つめ、込み上げる涙に顔を歪ませながら「那岐だって…」と、悔しそうに唇を噛んだ。
「いつもいつも泣いてた…っ、泣いてたのに何もできなかった……、私いつも見てたんだよ…」
俺へと軽蔑の眼差しなど一切向けられない。
むしろ絃は自分自身に呆れ、情けないと泣いていた。
「那岐を通りすぎる人はみんな唾を吐き捨てて嫌な顔をするの……、私、抱っこされてたからいつもそれ見てた…、」
俺がよく抱っこをしていたのは、もちろん両腕で抱えて顔が見えるのが好きだったからだ。
でも、他にも理由はある。
それは目の前から来る男の怪訝そうな目付きを絃に見せないようにするためだ。