光を掴んだその先に。
番外編
そのあとで
これは言うべきか否か。
ずっとずっとずっと悩み続けて、気づけば高校2年生の冬休み。
「んっ、なぎ、くすぐったいっ…よ、」
「明日からまた数日空けるんだ。…充電させろ」
湯上がりのほかほかした身体は、ぎゅーっと抱きしめられることによって余計に熱くなった。
冬だから平気だけど……いや、平気ではない。
今にも心臓は飛び出してしまいそうだ。
「絃、」
こうして耳元で甘く囁かれたとき、それはキスの合図。
私の首筋に顔を埋めていた那岐はそっと離して、今度は唇に向かってくる。
それをもちろん受け入れる22時。
「んっ…っ、」
ふわっと身体が宙に浮いてしまうかのように、気持ちよくて優しくて甘いキスが落とされる。
ふたりだけの部屋。
那岐の膝の上に乗り、そんな甘いとろけるような時間が繰り広げられているわけなのですが。
………やっぱり、言ったほうがいいよねぇ…?
「あ、あのぅ…」
「ん、」
唇の隙間からの返事にさえ、ドキッと胸は跳ねる。
ぜんぶかっこいい。
もう全部が、かっこいいのだこの人は。
「どうした?」
「えと…その、」
私がこれから那岐に言おうとしていることは、そう、謝罪。
ごめんなさいと、すみませんでしたと謝るつもりだったずっと。