光を掴んだその先に。
「なぁんで起こしてくれなかったのっ!?」
「起こしたよ?」
うぅ、ごめんなさい、本当は気づいてました。
だけど中学生以降は睡魔にだんだん勝てなくなってくるんだよね…。
「ごめんね、ありがとうみんな。今日もかわいいねぇ」
「お姉ちゃんは相変わらず寝癖すっごいね!!」
「やかましいわっ!」
“相変わらず”なんて難しい言葉、いつ覚えてきたの。
子供の成長って本当に1日1日とてつもないスピードで進んじゃうから目が離せない。
この施設で最年少である保育園組は、私と違って準備万端のようだ。
「あら、絃ちゃんは今日もお寝坊さんね」
「も~!みっちゃん起こしてよー!」
「絃ちゃんも高校生なのよ?ずっと甘えてたら駄目」
はぁーい、と欠伸をしながら返事を済ませた。
みっちゃんはこの施設のお母さん。
美智子(みちこ)おばさん、通称みっちゃん。
小さな頃は本当に母親だと思っていたくらいで、そうじゃないと知った今でも誰よりも頼れるひと。
「ごちそうさまでしたっ」
用意されていた朝食を口に運んだあとは駆け出すように洗面台へ。