光を掴んだその先に。
良かった…。
稽古終わりのまま着替えてなくて。
隣に竹刀が置いてあるのだって、このときのためだったのだろう。
だったら遠慮なく活用させてもらう。
「こっんのジジイ……老人だからって真っ昼間から堂々とセクハラしていいわけないでしょーがっ!」
「お嬢…ッ!?」
これは絶対に合法だ。
老人虐待とか、そんなんじゃない。
痴漢男から助けるとか、セクハラ上司を裁くとか、そういうものと同じはず。
「ほう?なら真っ昼間じゃなかったらええんかの?」
「そんなわけあるかっ!」
那岐にはいつも、術がないうちは正面突破は辞めろと言われていた。
上手くフェイントを使って相手の裏を読めと。
そんなものを出来る限り使ったはずなのに、軽々と避けられた。
「よっ、あらよっと」
「わぁっ!あーもうっ!!」
「ひゃぁっ!!」
私の攻撃を遊ぶようにかわして、その上でも女のふっくら丸みを帯びたお尻をいやらしい手つきで触る老人。
…今だ、出でよ内なる絃よ。
「このエロジジイ…!!お前は大人しく布団の上で介護でもされてろ…っ!!」
「ぶっ…わっはっはっは!美鶴!お前こんな所で何しとるんじゃ!」
「は……?」
振り上げた竹刀はピタリと動きを止めた。
それは老人に止められたのではなく、私が故意的に止めたもので。